「急に暴飲暴食をしたり、押し入れに頭を突っ込んで寝たりなどの変な行動を始めたのです。いま思えば、そうやってストレスを解消していたとしか思えません。主人に、『自分はこの会社に向いてない』とポロっとこぼしたこともありました」(ひとみさん)
A氏による無視は、拓磨さんと会話をしなかったことだけではない。拓磨さんのブログや芦澤さんが入手した東電の内部向けの調査報告書によると、班の人間が現場に出ているのに一人だけ現場作業に連れていかれず、事務所に置いてきぼりにされたりしたことがなんどかあった。
拓磨さんの高校の同級生や同期入社の現役東電社員も、「A氏が話をしてくれない。自分だけがお菓子を配ってもらえなかった 」と聞かされていた。
その後、拓磨さんのブログの内容は深刻さを増していく。
《5月11日、誰が俺を嫌っているのかわからない。
何が原因かわからない。以前のような優しく、面白い人に戻ってくれるのなら土下座だってする》
《6月10日、毎日辛い。朝、彼が出勤すると背筋が凍る。隣りに居ると緊張する》
書き込みはこの10日が最後だった。