ケーキの上で虫が大量に!? VRで“認知症の世界”体験してみた
とにっこり笑って去ってしまう。オロオロしていると女性が声を掛けてきて、乗降口まで案内してくれると言う。全身から力が抜けるようにホッとしたところで終わるーー。
「若年性アルツハイマー症の方に見せると、『まさにこれは私の体験!』と叫びました。泣きながら駅員に助けを求めたことは1度や2度ではないそうです」
そして、最後に体験したのは、存在しないものが見えるというレビー小体型認知症の世界を再現したもの。友人宅に招かれるところからストーリーは始まる。リビングで会話をしていると、うずくまった男性や壁を向いて立つ男性が視界に入ってきて、おしゃべりの内容がまったく頭に入ってこない。さらに机にはヘビがうねり、出されたケーキにはたくさんの白い虫が蠢いていて……。
恐ろしすぎて、叫びだしそうになった。
装置を外しても心臓のバクバクが止まらない記者に、下河原さんは優しく問いかける。
「認知症になったら“終わり”だと思っていませんか?その行動には必ず理由があります。どうしてそういう行動をとるのか。