【今週の萌えガタリ】グルメマンガ『かしましめし』小説家も激推しするその魅力
そこに強い罪悪感をおぼえている。ナカムラは仕事熱心な女性だが、同じ職場の恋人とかつて婚約破棄したことが関係して、社内に居づらさをおぼえることもある。唯一の関西弁キャラでもある英治は、同性愛者で、彼氏もいるのだが、近頃不仲だ。
美大の同級生である二十八歳の彼らは、別の同級生の葬儀で再開したのを機に、親交を深めていく。三人が会う場所は、たいてい千春の家で、あいだにはごはんがある。悩みを抱えながらも、彼らは本当においしそうにごはんを食べる。時にたくさんの言葉を交わしつつ、時に黙りつつ、とにかく食べる。彼らにとって食事は、生きるための行為であり、幸せになるための行為でもある。
一話完結ものとしても楽しく読めるのだが、三人それぞれの背景を追っていくという点では、早く続きが読みたくなって仕方ない作品だ。
著者であるおかざき真里さんの代表作であり、かつてドラマ化もされた『サプリ』では、広告代理店での仕事や、恋愛に悩む主人公の姿が、職場や年齢が異なる立場から読んでもリアルで、息苦しくなるほど「わかる!」と思った場面も多かった。
本作の『かしましめし』も同じく、時おり激しい共感に襲われる。