なぜ都合悪いことは聞かない?“困った年寄り”行動の原理
危なくて、何度手を引っ張ったことか……」(50代女性)
そもそも日本の横断歩道にある信号は、お年寄りに優しくないという。
「85歳を超えると歩幅が狭くなるので、平均で男性は1秒間に約0.7メートル、女性は約0.6メートルしか歩けなくなります。でも、日本の横断歩道にある信号は、1秒間に約1メートル歩くという前提でつくられているんです」(平松先生)
これでは、お年寄りが渡り切れないのも仕方がない。さらに、「そもそも信号機自体が見えていない」ということもあるようだ。
「高齢者は“眼瞼下垂”という、まぶたが下がる病気になっていることが多いので、上方に設置されている信号機がよく見えないのです。まぶたの下がりがなければ、上が45度以上見えますが、年齢を重ねてまぶたが下がると視野が狭くなる。上方視野が30度になると、7メートル離れないと信号機が見えず、20度では10.5メートル離れないと見えません」(平松先生)
眼瞼下垂を予防するためには「まぶたをこすらない」「コンタクトを長時間つけない」