年間5千億円もの税金投入…公立病院が赤字に陥る理由とは
(阪本さん)
こうした“お役所体質”は、コスト意識にも反映されている。
「医薬品や医療機材に関して、価格のリサーチが甘いんです。入札制度で割高の見積もりを出されても、相場がわからないから“言い値”で契約することになります」(阪本さん)
とくに公立病院と民間病院では、建設に関して、その価格差が顕著に表れる。
「1床あたりの建設費用は、民間なら700万円、国立病院で1,600万円、公立病院なら2,000万円といわれています。1床あたり約3倍もの違いがあるのです」(阪本さん)
にもかかわらず、「無駄に豪華にしたがる」と語るのは、元公立病院の産婦人科医だ。
「以前、病院建て替えをしたときのことです。患者さんがわざわざ診察室を移動せず、陣痛が起きてから分娩、回復に至るまでを過ごせる『LDR』という医療施設を数千万円使って作ったのですが、ほとんど稼働せず、今では臨時部屋だそうです。医師からは当初より『必要ない』という意見が出ていましたが、聞き入れられませんでした。