「日本一クレームがくる辞書」『広辞苑』改訂担当者の苦難
のツッコミ担当・サンキュータツオさん(41)は、こう続ける。
「『広辞苑』といえども『恋愛』という形のない概念には“正しい意味”や“正しい用法”が存在しないということです。それでも、限られた文字数のなかで、誰もが納得できるように、客観的に解釈をしようとします。そこには、書いた人の情熱や人間味が必ずにじみ出るものです。たとえば学校の先生に『恋愛とは?』と聞くと、『するもんじゃない』という人もいれば、『最高よ』という人もいます。なかには『若いころは気をつけなさい』という先生がいるかもしれません。それと同じように、辞書で『恋愛』をひくと、辞書を作った人それぞれの“恋愛観”が見え隠れするのです。なかでも、何度も見直しを経て、多くの編集者や読者によって磨かれた『広辞苑』の解釈は、単なる言葉の“意味”を超えた、恋愛で迷ったときの“道しるべ”になるかもしれません」
愛に迷い、多様な意見が乱れ飛ぶネットの中に答えを見つけようとしても、心は揺れ動くばかり。