西山美香さん(38)〈私は殺ろしていません〉獄中から訴えた350通の手紙
再審の行方は不透明だからだ。
’03年5月22日未明。美香さんが当時、看護助手として勤めていた湖東記念病院に入院中の男性患者Tさん(当時72)が、心肺停止の状態で発見された。Tさんは植物状態で人工呼吸器を着けていたが、発見した看護師のAさんは、「人工呼吸器のチューブが外れていた」と報告。
警察は、この日当直だった看護師のAさんや、看護助手の美香さんが、「チューブが外れれば鳴るはずのアラームに気づかなかった」“業務上過失致死”の疑いで、事情聴取を進めていった。
取調べの途中で、看護師Aさんは、「チューブは外れていたかどうかわからない」と供述を変えた。
しかし、取調べを担当していたY刑事は、「(チューブは外れていて)アラームは鳴っていたはずだ」と、看護師や美香さんらに、強引な取調べを重ねた。のちに獄中から弁護士に宛てた美香さんの手紙にはこう綴られている。
《なっていいひん(いない)もん(を)なったとは言えんと抵抗しましたが(Y刑事が)机をバンとしたりイスをけるマネをしたり……》
事件から1年後の’04年5月、美香さんは、「アラームは鳴っていた」