福島に「最先端の測定室と病院」を作った女性、7年間の奮闘
というのも、最先端の放射能測定器を、日本で初めて導入。大学などの研究機関でも測定が難しいベータ線を発する放射性ストロンチウムやトリチウムという放射能を、母親たちでも簡単に測定できるようにしたからだ。ストロンチウムは、体内に入ると骨に取り込まれてがんの原因に。トリチウムは、低濃度でも、染色体異常を引き起こす一因になる危険性が指摘されている。
原発事故が起きた’11年の10月。鈴木さんは地域の母親らと共に、たらちねをオープンした。冒頭のように危機を訴える鈴木さんの姿を見て、食品の放射能測定器を寄付した人がいたのがきっかけだった。そして、「子どもの未来のため」と妥協を許さないお母さんスタッフたちは、測定室を開設して2年ほどたった’13年、専門機関でも測定が難しいベータ線測定をすべく準備を始める。
「最初、たらちねがベータ線の測定を始めると聞いたときは、“幼稚園児がロケットを操縦して宇宙に行く”ほどむちゃなことだと思いました。正確な測定結果を出すまでに訓練が必要だし、それ以前に、測定器の購入だけでも1,000万円以上かかりますから」