福島に「最先端の測定室と病院」を作った女性、7年間の奮闘
たらちねのサポーターで、放射能測定が専門の東京大学環境分析化学研究室・助教の小豆川勝見氏は、そう当時を振り返る。鈴木さんは、講演会や、インターネットの動画などで、測定の必要性を広く訴えた。
「ベータ線を発するストロンチウムやトリチウムの測定には手間もお金もかかるので、国でも、決まったものしか測定していません。検査機関にベータ線の測定をお願いすると、かぼちゃ1個を測るのも20万円かかる。だからこそ、自分たちで、簡単に、安価に測れる体制をつくる必要があったのです。すべては子どもの未来を守るため、の一心です」(鈴木さん・以下同)
その純粋な思いは、多くの人の心をつかみ全国から寄付が集まった。数千万円を超える国内外からの寄付で、たらちねは、最先端のベータ線測定器を、日本で初めて導入した。’14年12月、「ベータ線ラボ」を開設。
測定室を併設した、認定NPO法人としては初の「たらちねクリニック」を開設したのは昨年6月のこと。
「たらちねでは’13年から、被ばくによって増える可能性がある“小児甲状腺がん”の検査を定期的に実施してきたので、すでに診療所を開くための資格は取得していました。