「僕がやってますけど、あくまでも僕の“役”でして。僕がしゃべってること、これ全部セリフなんです……」
ステージに立ち、そう語り始めたのは、『火花』原作者として出演する又吉直樹(37)。舞台『火花-Ghost of the Novelist』の冒頭のひとコマだ。芥川賞受賞以来、映画、ドラマ、コミックと展開されてきた『火花』の舞台化。又吉本人に話を聞いた。
「最初にコンセプトを聞いたとき、まず、僕が本人役で出ると聞いて驚きました。さらに、“なぜ『火花』を書いたのか?”“これはどういうテーマがあるんだ?”と、原作者として聞かれたくないことを舞台上で聞かれるという作り方は斬新やな、と思いました。これ、見たいな、と。
これまでも、取材で聞かれるたびに真剣に答えてきたんです。でも帰り道で、“ああ言うたけど、ちゃうよなあ。次回はちょっと言い方を変えよう”と。そんで言うと、“これもちょっとちゃうな”ってことが多々あって。