長谷川博己が語る近未来のビジョン。“なにもしない”というアプローチ【『はい、泳げません』インタビュー】
劇中にあるようにプールの中は、記憶を辿る女性の胎内に通じる場所なのかな?ということもすごく感じたので、それをどうエンタテインメントにできるかな?って考えながら、やっていたような気がします。
フェリーニの『8 1/2』みたいだと思った
――“生きる”とか“人生”といった大きなテーマを描く一方で、水泳教室の妙齢の奥様方がボソっと漏らす言葉にも生活レベルの気づきがありますね。
長谷川ええ。
人生について考えることも大事だけれど、あの奥様方がもっと日常に則した普通の考え方に引き戻してくれる。かと思えば、雄司の過去が明かされるあたりからはミステリータッチでグア~って引きずり込んでいくし、この映画はすごくいろいろなところに連れていってくれる。
僕は、脚本の段階ではそこまで分からなかったから、正直半信半疑のところもあったんですけど、でき上がったものを観たときに、そこがスゴいなと思って。そこは渡辺謙作監督の手腕ですね。
――水泳教室の奥様方だけではなく、タイプの違ういろいろな女性が随所に出てきて、雄司を現実や生活レベルに引き戻す一連では思わずクスっとさせられます(笑)。
長谷川僕は最初に(企画の)