長谷川博己が語る近未来のビジョン。“なにもしない”というアプローチ【『はい、泳げません』インタビュー】
長谷川むしろその感覚の方が強いのかもしれません。
最初にお話しした、“この作品に飛び込んでみようかな”という思考になったのもその表れですね。大河ドラマの『麒麟がくる』はコロナがまだ結構厳しいときに撮っていたし、本当にいろいろなことがあって大変だったんです。
しかも、大河の後も「あの現場も急に止まった」みたいな話を耳にすることが多かったので、しばらくは今の状況を冷静に見つめて、自分は本当はなにをやりたいのかを考えながらゆっくりしようと思ったんです。
そのときに、大河の撮影中に孫さんからいただいた本作の脚本がたまたま目に入って。それで読み直したら、自分と向き合おうとしていたそのときの僕ともシンクロした。
それで、これはやるべきものなのかもしれないと感じて、孫さんに「やらせてください」って言ったんです。
――撮影時のことについても教えてください。
実際は泳げる長谷川さんが、水に顔もつけられないところから始まる小鳥遊のカナヅチの芝居をどのように作り上げていったんでしょうか。
長谷川自分がトラウマだったものや嫌いだったものの記憶を過去に遡って呼び覚まし、それが今回は“水”なんだっていうふうに自分を洗脳していく感じでしたね。