村上春樹の世界を表す、新しい演劇表現を目指して 那須凜が挑む日英合作『品川猿の告白』
もともとはKAATの芸術監督である長塚圭史さんに、「ヴァニシング・ポイントの演出家が東京でワークショップをやるので参加しませんか」と声をかけていただいたんです。その時は、今回のキャストではないメンバーも何人かいました。そこで参加させていただいてからワークショップを3、4回くらい重ねていく中で、今回の公演にキャスティングされたという感じですね。
――そのワークショップの中には、ヴァニシング・ポイントの拠点であるスコットランドのグラスゴーで行われたものもあったと。
そうです。昨年の6月に2週間ほど、私もグラスゴーに行かせていただきまして、トラムウェイという劇場で稽古しました。その時も、今回出演しているキャストとは違う日本とスコットランドの俳優さんも参加されていました。私もその時点でもまだ、自分がこの『品川猿の告白』に参加するのかどうか、わからない状態でしたね。
最初はKAATとヴァニシング・ポイントで何かを作ろうという話から始まったんですが、一番最初のワークショップの時点では、この『品川猿の告白』ともうひとつの日本の作品、そのふたつをヴァニシング・ポイント側が提案していて。まずどちらに公演の可能性があるか、それを話し合ったのが1回目のワークショップで、2回目からは『品川猿の告白』を上演する方向で動き出しました。