村上春樹の世界を表す、新しい演劇表現を目指して 那須凜が挑む日英合作『品川猿の告白』
作品を使って何か可能性を探っていくワークを2年もかけてやるなんて、日本ではなかなか経験出来ないことで、贅沢でしたね。ヴァニシング・ポイントの皆さんがやっているワークはとても革新的で、毎回毎回が刺激的でした。
――この2年のあいだに那須さんご自身も、いくつもの話題の舞台を踏んで来られましたよね。同時進行していたこの企画が、いよいよこの11月末に形になるということですね。
はい、とても感慨深いです。これまで何人もの方が関わって来て、皆何とかこれを上演したいという思いで進めて来たので。結果的にいろいろな都合でキャスティングされなかった俳優さんが日本でもスコットランドでもいらっしゃいますし、そういう方たちの思いも引き継いで、ようやくまずは日本初演を迎えられることが本当に嬉しいです。今回の稽古は2年間の積み重ねがあるので、最初から友達みたいな感じで始められました。
「村上春樹の世界ではすべての言語が平等に通じ合う」
――少し見学させていただきましたが、皆さんが言葉の壁を感じることなく相手の思いをスムーズにキャッチして、動いているのが印象的でした。
見ていただいておわかりかと思いますが、進め方もすごく実験的なんですよね。