2022年5月2日 18:00
【ライブレポート】w.o.d. LIQUIDROOMで見せた最高のロックンロールパーティー
Photo:小杉歩
『TOUCH THE PINK MOON』というタイトルを聞いて真っ先に頭の中に浮かんだのは、実際にこの日の終演後にもかかっていたニック・ドレイクのラストアルバム『Pink Moon』(1972年)だった。うつ病の悪化によりライブはおろか人とのコミュニケーションすらままならなかった彼が、人々を飲み込む不吉な存在を桃色の月に見立て、喪失感や後悔の念に苛まれながらも音楽に対するピュアネスだけを頼りに光を求めているような作品だ。今回はw.o.d.がそんなニック・ドレイクの魂をロックバンドとして受け継ぎ、純度を突き詰めた最高のパーティーを作り上げようとしているように思えた。
この日のゲストはw.o.d.のサイトウタクヤ(Vo/Gt)が学生時代にコピーをしていたというTHE NOVEMBERS。特に近年は、完全にインディペンデントな活動のなかでその音楽的なレイヤーやサウンドスケープがますます進化。加えてバンド史上最大キャパのZepp Hanedaをゴールとする、5月~7月のワンマンツアーを目前に控えた今年初ライブということで期待が高まる。さすがの仕上がり具合。ニューウェーブ、パンクやハードコア、オルタナティブロック、エレクトロや民族音楽など、さまざまなジャンルからの影響を衝動と経験をもってデザインした、モダンで唯一のサウンドデザイン力はライブでも圧倒的だった。