おとな向け映画ガイド オススメはこの3作品と名画座の小沢昭一特集。
というテーマで10年前に執筆したという彼のオリジナル脚本。役者、撮影、音楽などにもこれまでの人脈が活かされ、オダギリジョーの集大成のような作品です。やられました。
明治から大正にかけて、日本のどこか、山あいの村(撮影は新潟の阿賀野川沿い)。川の渡しで船頭をする老人の物語です。まず、映像が素晴らしい。ゆったりとした時間が流れ、一艘の船だけが川面を静かに渡っていきます。まるで中国の山水画の世界です。
撮影はクリストファー・ドイル。香港の巨匠、ウォン・カーウァイとのコンビで知られる世界トップクラスの腕です。
近くに橋が作られ、船頭の仕事はまもなくなくなります。時代に抗うわけでなく、ひとり自分の仕事を淡々と続ける老船頭を演じるのは柄本明。渡し船に乗る村人や通りすがりの人々との言葉少ない会話で、映画が進みます。橋爪功、浅野忠信、村上虹郎、蒼井優、草笛光子……猟師父子を演じたの細野晴臣と永瀬正敏。いくつものエピソードが綴られます。これらの登場人物たちの姿もまた、懐かしく、日本の大切な原風景のようです。
『プライベート・ウォー』
2012年に他界した戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィンの半生を描いた映画です。