藤原季節「この物語にすごく救われた」映画『DIVOC-12』インタビュー
歩は人生に少し投げやりになっていた部分はあると思います。お金だとか、目に見える形でしか大切なものが語れなくなっていて。
僕自身にも、例えば、映画だったら興行収入が大事とか、そういう部分しか見えなくなりそうなこともあったけど、そのたびに、作品が何とか僕を人間らしいところに引き戻してくれているのかな、とも感じます。
たぶん、歩にとってはそれが冬海さんという存在だったのかな、と。大切なものはお金だけじゃない。それを取り戻すきっかけになったのだと思います。
――藤原さんは本作について「頭が真っ白になるような喜びを味わいました」とコメントしていましたが、それはどういう意味ですか?
ネタバレになってしまうので詳しくは話せないのですが、ラストシーンを撮っている瞬間は、余計なことが何も考えられなくなっていました。僕自身がこの物語にすごく救われているんだな、と感じていました。
この作品に入る前は、結構、悶々とした生活を送っていて。スマホやテレビから入ってくる情報に踊らされて、あたふたして、怯えて暮らしていたんですけど、(ラストシーンの)あの場所に立った瞬間は多幸感に満ち溢れていました。そんな環境を三島さんがまさに現場で泥だらけになりながら与えてくださったので、本当に頭が真っ白になるような感覚でした。