藤原季節「この物語にすごく救われた」映画『DIVOC-12』インタビュー
――そのようなことは他の作品でもよくあることなのですか?
ないですね。たった2日間の撮影だったんですけど、あそこまで一つの役に入れ込んだことはこれまでなかったです。撮影前に10日間、歩として生活していたんですけど、それもあまりやったことがなくて。
不思議な体験でした。振り返ると、僕自身、この作品に何かを懸けて臨んでいたんだな、と思います。
宮沢氷魚はすごく尊敬できる人
――本作のテーマは“共有”ですが、藤原さんはどの部分からそれを感じましたか?
言葉にすると少し簡単に聞こえてしまうかも知れないのですが、不安や喜びを分かち合うみたいなことだと思います。一緒にいることでより悲しくなったり、うれしくなったり。
この人に出会わなければ、こんなに苦しい想いをせずに済んだのに、と思いつつ、この人と過ごしたから、自分は豊かさを知ることができた、と思う。
豊かさを知るって、痛みを伴うこともあると思うんです。
歩にとってはまさに冬海さんと経験したことが、そういうことだったのかな、と。カラオケで熱唱しながら涙が止まらなくなるとかは、知らなくても良かったことなのかも知れないけど、僕は歩にとっては必要な時間だったのかな、と思っています。