くらし情報『「もっと落語を信用して欲しい 噺の幹の部分を描かなくちゃ」三遊亭歌奴インタビュー』

「もっと落語を信用して欲しい 噺の幹の部分を描かなくちゃ」三遊亭歌奴インタビュー

「もっと落語を信用して欲しい 噺の幹の部分を描かなくちゃ」三遊亭歌奴インタビュー


──今は、善悪を匿名という形で正義を振りかざす世の中になってしまい、落語に登場される主人公たちは、“今の正義”で判断したらよくないのかも知れないけれど、それが愛おしくて、自分も頑張って、“評価されるだけが全てじゃない”っていうところで笑える瞬間もあると思うんですよね。

与太郎の噺でもそうですけど、ちょっと馬鹿だからってみんなで馬鹿にするんじゃなくて、実は周りでなんとか良いようにしてあげようっていうのが元々の眼目なんですよ。馬鹿にする、だから面白い、じゃなくて。結局なにかしてやろうと思ったら案外与太郎のほうが利口で返り討ちに遭ったみたいな。お客様にはそこだけじゃなくて全体をみていただきたいなと思いますね。

入船亭扇遊師匠っていうかたがいらっしゃって、僕ら商売人だから“誰に習った噺だ”っていうのは台詞を聞けばわかるんです。扇遊師匠はほぼ一言半句教わった通りにやる師匠なんですけど、だけど“扇遊師匠の落語”なんですよ。これが一番、落語家のいい形だなって思いますね。
ちゃんと先人から教わったものを今度後輩に残していくっていう、それでちゃんと自分の味が出ているという芸人は素晴らしいなと。

「もっと落語を信用して欲しい 噺の幹の部分を描かなくちゃ」三遊亭歌奴インタビュー


取材:文=浅野保志(ぴあ)

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