2022年8月18日 07:00
杉野遥亮は迷わない「大事なことって意外とシンプルなのかもしれない」
役づくりについても、どんなスタンスで臨むべきか、当時はまだ迷うことが多かった。
「当時はまだちゃんと役のバックボーンとかそこまで考えられていなかったと思います。どちらかと言うと、意識していたのは外側の部分でした。やっぱりヤクザだし、眉間に力を入れてやった方がそれっぽく見えるかなとか、この一行の台詞にどこまで感情を込められるだろうとか、そういう外側の見え方を気にしていた時期でした」
経験を重ねて、今は役づくりのアプローチもずいぶん変わった。
「今は外側より内面重視です。ちゃんと内面をどれだけ積み上げていけるかが芸術だなって考えるようになりました。そういうふうに考えるようになったのは、やっぱり舞台をやってからだと思います。役に寄り添うことを考えられるようになってから、芝居が変わった実感があります」
だが、それは決して昔の自分を否定しているわけではない。
「昔の自分を見て、今の自分は成長したなとは感じます。でもこうやって時間が経って振り返ってみることで、俳優として抜け出したいけれど抜け出せない心境が、ヤクザから足を洗いたいけれどできないテラノという人間にうまくリンクしていたところはあったのかなとも思っています。