ヴァイオリンに思いを込めて半世紀─大谷康子が記念公演を華々しく
まだ子供でしたが、身体の大きな、髪の色も目の色も違う外国の方が、みんな立ち上がってすごい拍手をしてくれる。ああ、ヴァイオリンを弾けば、言葉や国が違ってもみんな聴いてくれるのだと感じる体験でした。音楽なら何かができる。それをずっと信じてきました。
今も世界でいろいろな問題が起こっています。簡単でないことは重々わかっていますが、それを乗り越えるようなことが、音楽にだって少しはできる。それを皆さんと一緒にもう一回考えましょうというのが前半。そしてその壁を乗り越えて、明るい未来に向かって力を合わせていこうよというのが後半のプログラムです。
音楽は、人の心に入った時に、ものすごく大きな力になる。大好きなヴァイオリンを通じて、できることはなんでもやろうと思って活動してきました」
多彩な構成のプログラム。幅広い活動歴を象徴するようにさまざまな編成の作品が並ぶのは、彼女の50周年を祝うためにたくさんの仲間たちが馳せ参じて共演するから。
信頼する仲間たちと、変化に富んだ多彩なプログラム
(c)Kano Hayasaka
コンサートはラヴェルの《ツィガーヌ》で始まる。ピアノは藤井一興。
「私の音色は特徴的で、ちょっと聴いただけで私の音だとわかると言ってくださるので、それを聴いていただきたくて、最初が無伴奏で始まるこの曲を持ってきました」