ヴァイオリンに思いを込めて半世紀─大谷康子が記念公演を華々しく
そしてショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番を、2005年に結成した弦楽四重奏団「クァトロ・ピアチェーリ」で弾く。第1ヴァイオリン:大谷康子、第2ヴァイオリン:齋藤真知亜、ヴィオラ:百武由紀、チェロ:苅田雅治。2010年にはショスタコーヴィチ演奏の成果を評価されて芸術祭賞大賞を獲得しているアンサンブル。
「チェロの苅田さんの先生の井上頼豊先生が戦後、抑留されていたシベリアから帰国される時に、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏全曲のスコアを持ち帰られたのだそうです。それを苅田さんに、『これをやりなさい』と託した。それを苅田さんが私とやりたいと誘ってくれたのです。でもその頃、私はものすごく忙しくて。そうしたら5年も待ってくださいました。
どんな本番でもルンルンで行く私が、クァトロ・ピアチェーリのショスタコーヴィチの時だけは、あんなに辛い思いの内容を表現しなければならないかと、いつも気持ちが重くて……。第8番は戦争の犠牲者に捧げられた曲ですので、今の状況を考えるにはふさわしいと思います」
R.シュトラウスの《メタモルフォーゼン》は23の独奏弦楽器のための作品。山田和樹指揮の「大谷康子50周年記念祝祭管弦楽団」