くらし情報『新国立劇場《夢遊病の女》で開幕。声の至芸の饗宴』

新国立劇場《夢遊病の女》で開幕。声の至芸の饗宴

ダンサーたちはアミーナをいたぶり、威嚇し、背後から覆いかぶさる。

そのストレスの背景にあるのは、ともすると冷酷でさえある、閉鎖的な村社会だ。合唱(新国立劇場合唱団)の村人たちが終始無表情で歌うのが強烈に不気味。結婚を祝う時でもアミーナの浮気疑惑を非難する時でも、つねに同じうつろな目で、感情をあらわにすることはない。顔の見えないネット民たちが根拠のない誹謗中傷で個人を集中攻撃する現代と、状況が似ているかもしれない。強い悪意がなくとも、平然と人を傷つける群衆。

ハッピーエンドのはずのラストにも暗い予感が漂う。アミーナにしてみれば、婚約者も村人たちも、誰も自分の潔白を信じてくれなかったのだ。
「はいそうですか。わかってくれてありがとう」と簡単に許せるはずはないだろう。教会の屋根のひさしの上で夢から覚めた彼女。最後の喜びのカバレッタを歌い終わると、一転けわしい表情を見せ、地上の村人たちに襲いかかるような、屋根から飛び降りるような仕草を見せた瞬間に暗転。幕が降りる。

(あらすじ)アミーナと地元の裕福な農夫エルヴィーノは結婚間近。ところが、ある日村にやってきた伯爵ロドルフォの部屋でアミーナ寝ているのが見つかり、彼女の浮気を疑ったエルヴィーノは激怒して婚約を解消する。

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