2022年7月28日 11:00
『ミス・サイゴン』でのデビューから『ガイズ&ドールズ』まで 石井一孝、30年のミュージカル人生を振り返る
そうなんです、みんなで歌う曲は2曲ありますが、1曲もソロがない(笑)。演出のマイケル・アーデンさんにお会いして、ブラニガン警部補はどうだろうかとおっしゃっていただいた時に、実は僕も一瞬どうしようかと思ったんですよ。でも作品の素晴らしさや直感的に感じたマイケルの才能への興味が勝りました。加えて、僕も年齢が上がってきましたので、演技面で芝居を締める役を任される、そういうポジションを求められるのは光栄だなと思った。歌いたい気持ちももちろんありますが、僕としてはストレートプレイに出るような意識で、日々舞台に立っています。
――もともとシンガーソングライター志望で、音楽がお好きでやってこられた石井さんが、歌という武器ではなく芝居で作品を締める立場になった……というのは、まさに30年の、俳優として培ったものの結晶ですね。
ありがとうございます。山下達郎さんや小田和正さんやフレディ・マーキュリーが好きで、ああいう風になりたいと思っていて、1本もミュージカルを見たことがない不埒者なのにオーディションを受けたのが1992年の『ミス・サイゴン』でした。
歌うことがファーストプライオリティで生きてきましたが、気付けばどっぷり演劇の、演技の世界に入っていましたね。