くらし情報『ヴァーチャルで探る、亡き母の『本心』──池松壮亮主演、石井裕也監督【おとなの映画ガイド】』

ヴァーチャルで探る、亡き母の『本心』──池松壮亮主演、石井裕也監督【おとなの映画ガイド】

ヴァーチャルで探る、亡き母の『本心』──池松壮亮主演、石井裕也監督【おとなの映画ガイド】


ストーリーに話を戻すと、朔也は、ロボット化の波で職も失い、世話焼きの幼なじみ(水上恒司)が紹介してくれた「リアル・アバター」の仕事につく。カメラ搭載のゴーグルをつけて、依頼主の分身(アバター)となり、指示通りに動くという、いわば“便利屋”の進化系。今でも技術さえあればすぐ普及しそうな仕事内容だ。彼はそれを通じて、死を覚悟した老人の夢を叶えたり、悪意のある理不尽な要求を実行するなど、様々な経験をしていくのだが、そのうちに、自分自身のアイデンティティまで見失い始める。そんな中、母の親友だったというミステリアスな女性、三好彩花(三吉彩花……名前の激似は奇遇らしい)に接触し、母の、隠された一面と秘密を知ってしまうことになる……。


ヴァーチャルで探る、亡き母の『本心』──池松壮亮主演、石井裕也監督【おとなの映画ガイド】


連載中の小説を読んで感動し、石井監督にこの映画化を提案したのは、主演の池松だ。初めて石井作品に出演した『ぼくたちの家族』からちょうど10年、「もう一度、母が題材になるこの作品で石井さんと向き合うことができたら」という想いだった。

原作者の平野啓一郎氏の快諾を得てから、石井監督は100回近く脚本の改稿を重ねたという。7歳の時に母を亡くしている監督にとって、母は永遠のテーマであり、「傲慢ないい方をすれば、自分の話だと感じました。

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