ヴァーチャルで探る、亡き母の『本心』──池松壮亮主演、石井裕也監督【おとなの映画ガイド】
主人公が抱えている不安は今後確実に自分も追体験するものでしょうし、その状況においてどう生きるかを物語の柱にすれば画期的で面白い映画になると確信しました」と語っている。
その思いに応えて、主演の池松に加え、母親役の田中、VF開発者役の妻夫木聡や幼なじみ役の水上恒司、アバターデザイナー役で仲野太賀、VF役に綾野剛、リアル・アバターの依頼人として田中泯といった今を代表する実力派俳優が集まった。
そういえば最近、スーパーに買物に行くとよく見かけるのは、客からネット注文があった商品を店員がピックアップしている姿。ゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」もついに発売されたし、街中でゴーグルをつけてうろうろする「リアル・アバター」が出現する日も近い。
でかいヘッドホンが小さなワイヤレスイヤホンに取って代わったように、きっと瞬く間にゴーグルもコンタクトレンズか何かに進化して、アバターの存在さえ識別できなくなるだろう。ヴァーチャル世界とリアル世界があたり前に同時並行して動く社会、なんてことも起こりそうだ。それも至って近い未来に。
監督は「テクノロジーの発展が一気に進み、社会が急激に変わりゆく中で迷子になりかけている感覚は僕個人だけのものでなくて、大なり小なりみんな一緒。