CRYAMY“最初で最後の日比谷野音ワンマン”は命懸けの3時間半公演だった【ライブレポート】
そして「完璧な国」と「天国」で美しいアンサンブルを描き出すと、「歌を聴いてくれて、ありがとうございました」と4人は再びステージを降りていった。
(Photo:村井香)
だがライブはまだ終わらなかった。三度帰ってきたカワノは「余力は残されてる。歌い切るって約束したので、しばしお付き合いください」といってマイクの前に立った。「シカゴで録ったアルバムは俺の遺書や遺言、そんな気持ち。あの11曲のどこを切り取って『これがCRYAMYの、カワノの遺言だ』と言われても後悔はない」と改めて『世界 / world』というアルバムに込めたものを言葉にすると、「歌ってるときはおまえ、貴様、君、ひとりひとりのほうを見て心を割いて歌ってきたという自負がある。どうか受け取っていただきたい」と告げ、絶叫から「葬唱」へ。ストロボライトとスモークに包まれる中、ヘヴィなタカハシのベースが、フジタの切先鋭いギターが、再び野音をカオスに叩き込んでいく。
〈歌うということは/負けるってことだよ〉というこの曲の歌詞は、大団円の美しい終わりなどどこにもないし、だからこそ必死に続けていくしかないんだという覚悟なのかもしれない。
さらに同じく『世界 / WORLD』からの「待月」