くらし情報『新鋭・五戸真理枝の演出で『どん底』がどう現代に息づくか』

新鋭・五戸真理枝の演出で『どん底』がどう現代に息づくか

人を見る目や懐の深さがないとこの戯曲は書けないだろうなっていうか、ゴーリキーという人間の温かさがだんだん現れてきた感じがして、そこに私もすごくびっくりしています。作者が込めた何かしらの思い……それはセリフ以外のことから滲み出てくるもので、ほんとに些細なことで伝わるかどうかが変わっちゃうようなものなんですけど、なんとか届けたいなと今思っています。そのための微調整を細部まで続けたいですね」

『どん底』というタイトルから滲むペシミズムやシニカルさが、イコールこの作品へのイメージという人も多いのではないだろうか。正直その一人であった筆者には、五戸が発する「温かさ、懐の深さ」という言葉が意外に聞こえた。

「登場人物への視線はシニカルでは全然ないと思います。むしろストレートな愛情な感じがして。誰のことも否定せず、悪役のことも否定していないんです。私、悪役は悪役として書いてるんだろうなぐらいの印象で読み始めたんですけど、全然そうじゃなくて、悪役の人間性もちゃんと浮かび上がってくる。
そこが驚異的だなという感じがしています」

なお、同劇場演劇部門の芸術監督・小川絵梨子とは同世代ながらあまり面識がなかったそうだが、五戸が文学座アトリエの会で演出した久保田万太郎『舵』(2016年)

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