タイル張りのレトロなバスルームで、ずぶ濡れの2人が見つめ合い、唇を重ねる。甘く幻想的な光景に、言葉も忘れ、見とれてしまう。
「自分にとってああいうシーンは初めてだったので、すごく鮮明に覚えています。緊張したのもそうですけど、濡れてるから、ほっとくとすごい冷えるんですよ(笑)。直前までお互いあったかいシャワーを掛け合いながら本番に入りました」
さくらの首筋に添えた手が、包み込むように大きくて、色っぽい。
「手の位置は、並木(道子)監督にいろいろ指導をしてもらいながら、画角に合わせていちばんよく見えるものを目指しました。体のパーツをそれぞれ撮っていたので、そこはちょっと照れくさかったですけどね。その分、素敵なものが撮れたと思うので、手から足の指先までしっかり見ていただけたら」
こうした恋愛作品は、視聴者が思わず恋してしまうような男性像でなければ成立しない。
その難しさは、他の芝居とはまた違う独特さがある。
「後半に入っていくにつれて春斗の葛藤が描かれていくんですけど、そこは感情に身を任せられたというか、すっと自分の感情が入って演じやすかったです。難しかったのは、前半のいわゆるキラキラカット。