映画『ミッシング』ティーチイン付き上映会レポート 森優作が
一番の味方だよ、って言いながらもねちねちと過去のことを言ったりする。ここで“喋らないという選択”が、豊の意地悪さというか。良い人キャラなんだけど、人間誰しも持っているちょっとした悪意というか、彼の“小ささ”みたいなもの、人間のそういう部分があるからこそ優しくもできるということを描きたかった」と、“人間描写の鬼”と呼ばれる田監督ならではのキャラクター造形について語った。
このシーンは、修理工場のスタッフに呼ばれるきっかけで豊が立ち上がる場面だが、田はそのきっかけとなる合図をなかなか出さず、45秒も青木と森の様子を見ていたという。「森君の横顔を見てたら、45秒の間にだんだん涙が溜まっていって。森君、黒目しか見えないのね。その姿が小動物みたいで……」とそのシーンの裏話も飛び出した。
『ミッシング』 (C)2024「missing」Film Partners
質問者の中には、本作をすでに観て、「この映画を作った人なら何か生きるヒントを与えてくれるのでは」という切実な思いから、自分自身の辛い経験を吐露した人もいたが、劇中さながらの“救い”をもたらすように、田と森はひとつひとつの質問に真摯に回答。