市原隼人、“正しい道”を求めて彷徨う男を演じ「苦しくも“かけがえのない時間”になった」
それが田胡悠人だ。彼はかつて海外拠点の特殊詐欺で逮捕された経験を持つ人物で、出所後に詐欺会社・ライドクリーンに入り込み、詐欺師を操り、罠にかけ、社内での地位をかためていく。しかし、物語が進むにつれて彼の過去や、抱えている哀しみが次第に明らかになっていく。
市原は「撮影が始まった段階ではまだ物語の最後をどうするか固まっていなかったのですが、テレビ東京さんとWOWOWさんの共同製作の醍醐味を感じながら何度もプロデューサー陣、監督と打ち合わせをさせていただきました。最初に脚本をいただいたときは、この作品を通じて何をお客様に伝えるのか?と考えれば考えるほどに……本当に難しかったですね」と微笑む。
というのも、本作では詐欺師や、詐欺師たちを束ねる“サロン”を主催する男との息詰まる駆け引きもたっぷり描かれるが、単なる知恵比べや騙し合いだけではなく“なぜ、彼らはここまでして詐欺をはたらくのか?田胡はなぜ詐欺師を喰らうのか?”が重要なテーマになっているからだ。「表面的には詐欺の話が描かれてはいるのですが、田胡のことが描かれていくにつれて、1話、2話……と面白さが変化していく作品なんです。最初、田胡は相手に感情を動かされることも、相手に感化されることもなく、自分の信じた道を進んでいくような人間として描かれています。