市原隼人、“正しい道”を求めて彷徨う男を演じ「苦しくも“かけがえのない時間”になった」
彼は過去やトラウマを抱えて、あらゆる逃げ道を積み重ねて“田胡”という人物を作り出してしまった。そこで表面的には相手と騙し合いをして、詐欺が積み重なっていくわけですが、その結果として、田胡は“本当の自分はどこにいるんだろう?”と思うようになるんです」
“他人に見られたくない姿”を見せたい
田胡には悲しい過去があった。抱えきれないほどの哀しみを抱えてきた。だから彼は相手を騙し、目的のために、自分の信じる正義のために詐欺師を喰らう。しかし、自分の信じる正義とは何なのか?その正義は本当に正しいのか?
「人間は結局のところ、どう生きていいのか分からないものだと思うんです。どれが正解なのか分からないですし、自分が正解だと思っていることがあったとしても、それが他人の犠牲の上に成り立っているかもしれない。生きる上で、本当の正義とは何だろう?何が人生の意義なんだろう?そんなことをずっと問いかけながら演じました。まだ考え続けている段階です」
共演陣と緊迫感のある“騙し合い”を演じながら、同時に自身の中で芽生え、渦巻く葛藤も表現しなければならない。
田胡は難役だ。市原は「本当に苦しくて……できることなら早く終えたかったです」