福士誠治、ロバート・ロス役を演じる韓国発三人ミュージカル『ワイルド・グレイ』の魅力を語る
僕、朗読劇では経験ありますが、三人芝居は初めてなんですよ。
――物語にはどんな印象を抱いていますか? 作家オスカー・ワイルドを中心とした男たちの物語ですが。
粗訳を読んだ感想ですが、オスカー・ワイルドという人の魅力に惹かれた人たち、そして望むものが手に入らなかった人たちの物語だな……と感じています。僕の演じるロスも、ワイルドにもっと近くにいてほしいと心では願っても彼を手に入れることはできない。ダグラスもそう。ワイルド自身も、彼が望む芸術や美はもっと高みにあって、そこまで行き着くことはできなかった気がする。誰もがそんな切なさと孤独を持っているような話です。
――オスカー・ワイルドといえば、耽美、退廃的、といったイメージがありますが、この『ワイルド・グレイ』もそういう側面はありそうでしょうか。
そんな印象はあります。花火のように、短いからこそ儚くまばゆい。……僕の中ではオスカー・ワイルドは“スター”だな、と思います。生きるエネルギーを小説や芸術に集約した人。マイケル・ジャクソンみたいな感じかな? やっていることのすごさというより、その人自身の魅力にどうしようもなく惹かれる、というような。