くらし情報『正解のない作品があってもいい――『前科者』岸善幸監督が問いかける“想像”の必要性』

2022年2月4日 18:00

正解のない作品があってもいい――『前科者』岸善幸監督が問いかける“想像”の必要性

ですが、そのシーンの外にある時間。例えば、シーンが終わった後、どんな風に過ごしているんだろうと想像できれば、それは本物だと思うんですね。

俳優にもそういう演技を求めていますし、有村さんと森田さん、そして出演するキャストの方々が僕の求める以上の本物感を表現してくれました。“本物”の基準は人それぞれだとは思いますが。それは僕がドキュメンタリーを撮っていたときの感覚に通底しているかもしれません。やはり、取材される側の言葉や表情が本物でなければ、観る人に納得してもらえませんから。

想像の先にある“許す”というテーマ

正解のない作品があってもいい――『前科者』岸善幸監督が問いかける“想像”の必要性
(C)2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
──同時に作品そのものも、今の時代につながっているように感じました。

岸今は格差や貧困、底辺といった生きづらさを形容する言葉が散乱していると思います。
それは、言葉の上っ面だけを捉えて、その実態を想像するまでに至っていないのではないかと感じますね。

脚本を作り始めたのはコロナ禍以前ですが、こうして(コロナ禍から)2年が経って、社会全体が負のスパイラルに陥ってしまった。ニュースを見ていても、たしかに5W1Hは伝えられているのですが、それだけじゃないのではないかと思う時があります。

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