2024年4月6日 12:00
「第8回横浜トリエンナーレ」展示の模様をレポート アーティストの多様な視点から、生きづらい現代を生き抜く方法を探る
港町・横浜から発信する国際展「第8回横浜トリエンナーレ」が3月15日(金) に開幕した。アーティスティック・ディレクターに、北京を拠点に国内外で活躍するアーティストのリウ・ディン(劉鼎)と美術史家のキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)を迎え、31の国と地域から93組のアーティストが参加。6月9日(日) まで開催される。
パンデミックを経て日常の喜びをあらためて感じる一方で、世界に視野を広げれば戦争があり、気候変動や災害、差別や経済格差など問題が山積みの現在。リウとルーがキュレーションした展覧会「野草:いま、ここで生きてる」は、日本にも縁の深い中国の小説家、魯迅の詩集『野草』(1927年刊行)に想を得て、絶望から出発しながらも、アーティストの多様な視点を通じて考え、共に生き抜く知恵を分け合おうとするものだ。メイン会場の横浜美術館をはじめ、「旧第一銀行横浜支店」、「BankART KAIKO」などを舞台に7章で構成。過去と現在をつなぎ、庶民の力が主役となる。
なお、3年ぶりにリニューアルオープンした横浜美術館は、天井のルーバーから外光を採り入れ、明るい雰囲気に。横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクターを務める横浜美術館館長の蔵屋美香は「体力のない方や子どもなど誰もが安心して楽しめる優しいつくりになっています」