『あんのこと』で話題の入江悠監督が登壇! 第37回東京国際映画祭 日本外国特派員協会 記者会見レポート
東京国際映画祭はどうか。
市山作品次第だと思う。もしオープニングやクロージングにふさわしい配信作品が出てきたら、その時には改めてきちんと考える必要があると思う。
――今年上映される日本映画について教えてください。
市山コンペティション作品で取り上げる3作品について話したい。片山慎三監督の『雨の中の慾情』は、原作の漫画の雰囲気を出すためにすべて台湾で撮影されたもの。吉田大八監督の『敵』は全編モノクロ映画で、シュールレアリズム的な設定を使った面白い作品。そして、大九明子監督の『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』は、彼女のベストの作品だと思う。
特に俳優の演技が素晴らしく、長回しのシーンは必見です。
――海外に向けて訴えたいものはあるか?
安藤チェアマン吉田大八監督の『敵』に関して、主演の長塚京三さんとは同じ演劇を目指した仲。老境を描いた作品で、大変身につまされる。このように沢山の魅力に溢れた興味深い作品が数多く上映されるので、是非多くの方に映画祭に足を運んでいただきたい。
また『あんのこと』上映後に、入江監督への質疑応答が行われた。
――本作は実際に起こった事件が基になっていると伺いましたが、どのように事件を知り、映画化となったのでしょうか?
入江監督プロデューサーから、薬物依存症を断ち切って夜間学校で学んでいた女性が、コロナ禍で命を絶ってしまったという新聞記事を見せてもらったのと、刑事が被害者救済活動を私物化して捕まった別の事件の週刊誌の記事を見せてもらい、それを元に脚本に起こしてみないかという話をいただいたのがきっかけです。