2021年11月3日 12:00
二兎社『鴎外の怪談』主演・松尾貴史×永井愛(作・演出)インタビュー
で、ここならば私も鴎外を描くことが出来るかもしれないと。それからですね、「鴎外さん、こんにちは」って思えるようになったのは(笑)。
今の時代にもリンクしていることがとても多い
――これまでの鴎外に対するイメージと、本作を読まれてみての印象は?
松尾鴎外ってファクトとイメージで遊ぶ表現というのを併せ持っていた人で、そう捉えると進んで親近感を持ちたいと思うような存在です。そんな両方の視点からものが見られる主人公が、自らの立場から葛藤し、苦しんでいる姿がとてもドラマチックに描かれている。でもそれって、実は今の時代にもリンクしていることがとても多いんですよね。
――初演から7年を経て、さらに今の社会に響く作品になったように思います。
永井本当にそうですね。初演のころは特定秘密保護法が成立、施行されたり、安保法案に関してはデモも盛んになりましたよね。
松尾そのあとには共謀罪もありましたし。そして今も、インターネットで情報を操作するために公金が使われたのでは?なんて疑惑も出てきていますから。
永井鴎外が大逆事件の秘密裁判の時に感じていたであろう危機感と、今の状況がすごく重なるんですよね。