2022年7月27日 08:00
“香川照之の真髄、この映画にあり” 監督集団「5月」初の長編映画『宮松と山下』11月18日公開決定
年齢不詳の男は思慮深い教授そのもので、豊かな知識の会話術に満ちながら、その実なにを考えているのか皆目分からない。
そんな彼ら3人の巧みな言葉に乗せられて、私のアイディアや感性も暴発していく。ああ、久しぶりに芯のある演技をしているな…完成した作品は、やはり久しぶりの変態性に満ちていた。狂っている。褒め言葉だ。こんな映画が欲しかった。
<監督:関友太郎 / 平瀬謙太朗 / 佐藤雅彦・コメント>
この映画は、当初、「とうてい実現できそうにない構想」として、私たち3人の監督の間では宙に浮いていた。それが、ある日、「香川照之」という名前がひとりの口から漏れた瞬間。
現実に完璧に定着することができると3人の監督は直感した。
エキストラ役者として己の個を消してどんな場所にでも潜む役を演じつつも、画面に写ったら最後、観客を物語の世界へとグイグイと連れて行く存在感。そんな矛盾する両面性。もう香川照之しかいなかった。
そして、それがいかに素晴らしい閃きであったかを、私たちはその後、嫌というほど思い知ることになる。撮影の最中、宮松という人物を求めて、香川さんはずっと私たちと一緒に悩み、試し、答えを出した。