2022年10月20日 07:00
【インタビュー】「それぞれの恋の炎の揺らめきと、言葉の美しさに酔いしれて」―演出・主演 野村玲子に聞く朗誦劇『アンドロマック』の魅力
私だけでなく、エルミオーヌ役の坂本里咲と、もうひとりのメンバーにも、私の“折れ”を伝えて、自分のやりたいこと、演出家から求められていたことをすべてその人たちにも理解してもらい、私が演者となっているときは、それが意図として通っているかどうか、客観的に見てもらいました。俯瞰で見ることで、それぞれのキャラクターがどういう行動線で繋がって、この作品が立ち上がっていくのか、これまでより、よくわかったような気がしています。それに、俳優たちにうまく伝わらなかったり、もうひとつ上に行ってほしいと思うときも、何に引っかかっているのか、自分の経験から思い当たることがあるので、「私はこうだったけれど、どんな感じ?」と話しかけて、答えを引き出せることもありますね。
『アンドロマック』これまでの公演より。野村さんは今回主演だけでなく演出も手がける撮影:山之上雅信
――アンドロマックは、数々のタイトルロールを演じてきた野村さんからしても、かなり手ごわい役ですか?
野村私が初めてこの役を演じたときは、1966年の初演が、平幹二朗さん(ピリュス)、市原悦子さん(アンドロマック)、渡辺美佐子さん(エルミオーヌ)、日下武史さん(オレスト)