2023年1月4日 13:35
『壽 初春大歌舞伎』開幕レポート 新春の初芝居に相応しい多彩な演目を披露
が、中村勘九郎演じる供の若党(実は南郷力丸)を連れ立ってやって来る。
娘は婚礼の品物を選ぶうちに万引きをしたとの疑いをかけられ打ち据えられるが、万引きが誤解だったと分かると詫びの百両を手に入れる。金を手にして悠々と立ち去ろうとする二人だったが、中村芝翫演じる侍(実は日本駄右衛門)が現れ、娘の正体が明らかに……。
歌舞伎座で弁天小僧菊之助を初めて勤める愛之助は、有名な「知らざあ言ってきかせやしょう」から始まる七五調の名台詞をテンポよく披露し、芝居を盛り上げる。「初心に返って勤めたい」と語った愛之助は「すっきりとした粋でいなせな弁天小僧」を仕草はもちろん、江戸弁も巧みに操りながら作り上げ、勘九郎演じる南郷力丸とも息の合ったやりとりをみせる。
「稲瀬川勢揃い」の場では、揃いの小袖を着て「志ら浪」の傘を持った五人男(弁天小僧菊之助=愛之助、南郷力丸=勘九郎、忠信利平=市川猿之助、赤星十三郎=中村七之助、日本駄右衛門=芝翫)が花道に勢揃い。それぞれが手にした番傘を捌きながら名乗りを上げる場面は、目にも耳にも心地よい華やかなひと時だ。
「あの頃の時間が戻ってきたよう」(愛之助)、「共に修業した仲間。