2023年11月29日 08:00
林遣都は何者か。その答えに見た、彼の演技に魂が揺さぶられる理由
(撮影:友野雄)
映画『隣人X -疑惑の彼女-』が公開される。
人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだ惑星難民X。未知なる存在に人は怯え、恐怖はやがて大きな混乱を生んでいく。まるでコロナ禍以降の現代を映し出したような本作で、林遣都が演じているのは週刊誌記者の笹憲太郎。
Xの疑惑がかかる謎めいた女性・柏木良子(上野樹里)に近づいた笹は、スクープをあげて身を立てたいという功名心と、良子への恋心のはざまで激しく揺れ動く。
なぜ林は、社会の片隅でうずくまっているような役とこんなにもシンクロするのか。思わず胸が痛むようなリアリティの秘密に迫った。
人の弱い部分を理解できる人間でありたい
仕事はクビ寸前。唯一の肉親である祖母の老人ホームの費用も未払いのまま。経済的にも精神的にも追いつめられ、笹は逃げ場を失っていた。
『初恋の悪魔』の鹿浜鈴之介。『浅草キッド』の武(ビートたけし)。近年、林遣都は世の中にうまくなじめない人や生きづらさを抱える人を演じることが多い。
「あるときから人の弱い部分を理解できる人間でありたい、俳優でありたいという想いが、自分の大きな軸になっていて。だから、そういう役をいただけると、どうしてもやりたいと思ってしまうんですね」