2023年11月29日 08:00
林遣都は何者か。その答えに見た、彼の演技に魂が揺さぶられる理由
「そこはもう想像力しかないです。自分の中にある近しい何かと重ね合わせて、想像を膨らませていく。自分にも似たような経験をしたことがあったな。似たような思いをしたことがあったな。そう感じることはもちろんありますけど、役の立たされている状況は自分が経験したそれよりずっと辛い。ほんのちょっとしたことで僕はあんなに辛かったのに、じゃあこの人はどれだけ辛いんだろうって。そうやって、想像して、想像していくしかないです」
実力派と評されるようになった今もなお「自分に自信がある方じゃない」と自己評価は低い。でも、そんな繊細な林だから、役の生きづらさに寄り添えるのだろう。
今回演じた笹についても、「共感できるところはたくさんあった」と慈しむような視線を向ける。
「笹とは年齢も同世代。ちょうど僕ぐらいの年になると、20代とは違った危機感や不安を抱きはじめます。中でも笹は現状がうまくいっていない分、人に認められたいという気持ちは強い。そして、その焦りは僕にもある。職種は違えど、彼の抱いている感情で理解ができないというところは全然ありませんでした」
一緒にお芝居する人によって役はつくられていく
その役への没入ぶりから、「憑依型」