【『スリル・ミー』キャスト対談第2弾】 成河×福士誠治 ~“資本主義の病”を描く旅人ペア~
というもの。きっと色んな捉え方ができるから『スリル・ミー』は人気があるわけで、“究極の愛”というのもそのひとつだと思います。ただ僕の中には「本当にそれでいいの? そのひと言では語れない作品なんじゃないの?」という問いがあって、そんな時に“資本主義の病”と言われてとてもしっくり来たんです。この話を、純粋に愛し合っているふたりを周りの大人がダメにした、という他人事にしてはいけない。ふたりの愚かしい振る舞いが、今も資本主義社会に生きる僕たち自身の教訓にならないといけないと、少なくとも僕は思っています。
福士100年前の事件だけど、同じような愚かさって、今の時代にもあるものだからね。あんまりこういうことばっかり言うと、お客さんが観に来たくなくなっちゃうかもしれないけど(笑)。
成河いやでも、それが演劇だと思うよ。
人間の欲とか悪意、闇みたいなものって、あまりにも近づきすぎると取り込まれてしまう危険があるけど、演劇だと遠くから観て、問題解決につなげることができる。確かに、究極の愛を描いた作品として大切に思っているお客様にとっては聞きたくない話かもしれないけど、栗山さんはどっちの柱も持っている中でこっちの柱を僕たちに預けてくれている感覚があるから、今回も僕たちはこの柱でやらせていただくと思います。