「地下芸人をやってたけど 寄席演芸に答えがあった」鈴々舎馬るこインタビュー
──鈴々舎馬風師匠に弟子入りしたのは。
新聞配達していたのが練馬の石神井公園で、自分の配達区域で落語会があって。そこには立川流の人が来てて、その繋がりで快楽亭ブラック師匠とか、(立川)談志師匠は2回くらい生で観たり、立川流に傾倒していったんです。ブラック師匠が自分にとっては凄い存在で弟子入りしようかとも考えたんですけど、下ネタばかりやっていては飯は食えないという冷静な判断が働きまして(笑)。寄席に出なきゃいけないなと、それで馬風師匠の芸を観たんです。
そのときの高座で、前座時代のトークで、当時内弟子だった馬風が財布を盗んだと疑いをかけられ、最終的に濡れ衣だったとわかり、前座のうちは酒禁止だったのに(柳家)小さん師匠が「母ちゃんには内緒だよ」ってウイスキーくれて、おかみさんは「父ちゃんには内緒だよ」って日本酒くれて、交互に酒がきたという、なんてことないエピソードですけど、客席の空気がすごいあったかい感じになったんですよね。いつもの師匠の高座だと漫談で爆笑させるんですけど、こういう戦い方もあるのかと。そこで馬風という落語家を意識しました。
追いかけて観るようになって、師匠の美空ひばりメドレーで高齢者の方がバカ受けしてて、ここには何か答えがあるに違いないと。