大竹しのぶが、10年ぶりに取り組む林芙美子──こまつ座『太鼓たたいて笛ふいて』稽古場レポート
第2幕に入ると、前半で次々登場した楽しげな歌の場面は影を潜め、より重々しい空気が濃厚になる。ふと頭によぎるのは、芙美子の大きな見せ場となる、「滅びるにはこの日本、あまりにもすばらしすぎる」(宇野誠一郎作曲)。いまの大竹は、これをどんなふうに表現してみせるのだろう。劇場でしっかりと体感したい。
戦中戦後の日本人の姿にリアルに迫るこの井上作品を、次の世代に受け継いでいくという重い責任を果たさんと、心を尽くして新たな演じ手たちと向き合う栗山。林芙美子の活躍をリアルに知らない世代の私たち、さらに若い世代の観客をも魅了し、戦争のこと、物語のこと、力強く生きるということについて、いまいちど深く考えさせてくれる舞台となる。
取材・文:加藤智子撮影:宮川舞子
<公演情報>
こまつ座第152回公演『太鼓たたいて笛ふいて』
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:
大竹しのぶ高田聖子近藤公園土屋佑壱天野はな福井晶一朴勝哲
【東京公演】
2024年11月1日(金)~11月30日(土)
会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
【大阪公演】
2024年12月4日(水)~12月8日(日)
会場:新歌舞伎座
【福岡公演】
2024年12月14日(土)