2022年1月9日 10:30
困難な時代のなかで輝く光――2021年音楽シーン振り返り&2022年期待のニューカマー
ただし、そんな困難な1年にあっても、着実にスケールアップを果たしたバンドは、いくつか存在した。まっさらな新人がいきなりブレイクした、というよりも、じわじわと力を蓄えてきた中堅バンドが、なんらかの機会を経て一気に羽ばたいたのが2021年だった、というケースの方が、多いかもしれない。
たとえば、「勿忘」の大ヒットで紅白歌合戦出場が決まったAwesome City Club。映画『花束みたいな恋をした』にPORINはじめメンバーが出演しており、その関係で、この映画の広告や予告編で流れる「インスパイアソング」としてこの曲を提供したことがきっかけになってヒットした曲だが、ここまでに、メジャーデビューから6年かかっている。
Awesome City Club「勿忘」MV
同じく、millennium parade × Belleとして紅白に出場した中村佳穂も、映画『竜とそばかすの姫』の主人公ベルの声と劇中歌を担当したことが、紅白出場につながったのだろうが、4、5年前から「京都にとんでもない才能の女性がいる」ということが話題になり始め、2019年あたりから東京でのライブのチケットは入手困難になっていた。