ASKA「今しか歌えない歌を」コロナ禍での“新しいリアル”を語る【ロングインタビュー】
熊本も大震災でした。僕は、同じ九州の福岡で隣の県ですからね。東北の陰に隠れてはならないと感じていました。もちろん、熊本には友人が多いのもあります。1ツアーで頂いた「義援金」「募金」と言っても、「被災」という言葉の前ではお手伝いにしかなりませんが、気持ちは届けられると思いました。ツアーの何箇所かで公開リハーサルを有料で行い、そこで集まった収益、そしてホールに設置した募金箱を義援金として最終日に届けるというのが目的だったんです。そういう特別な思いがまずはある中で、そこに映像がついてきてしまうと、チャリティーやボランティアという部分にどうしても焦点が当たってしまうんじゃないかと。そうなると行ってきたことの意味合いが変わってしまいますよね。
そこで、映像収録は東京にしようと急遽変更しました。その東京を最後にツアーは「新型コロナ」で中断してしまいました。本当に、やっておいてよかったですよね。
ーー本当にそうですね。
ASKA:2月11日の東京公演を収録していなかったら、もし、このままツアーが中止となれば、今回のツアーは記録に残ってなかったっていうことになりますから。
音楽業界のチャリティーへの意識について思うこと
ーー先ほどチャリティーのお話がありましたが、そういったものへの意識は以前からあったんですか?
ASKA:89年と91年に半年ずつ僕はロンドンに住んでいるんですけど、そのときに海外のアーティストと日本のアーティストとの違いを一番感じたのは、チャリティーにかける思いとかボランティア精神というものでした。