宮沢氷魚の自己肯定論「人との違いが自分のひとつの武器になった」
撮影:奥田耕平
返り血を浴びれば浴びるほど、銀幕の中の彼は輝いて見えた。
俳優・宮沢氷魚がまた新たにその存在をスクリーンに焼きつけた。9月9日(金) 公開の映画『グッバイ・クルエル・ワールド』で演じたのは、ラブホテルの従業員・矢野。強盗団が奪った大金をめぐり、玉城ティナ演じる風俗嬢・美流とタッグを組んで、事件の中心へと飛び込んでいく役どころだ。
宮沢氷魚の演じる役は、どれも宮沢氷魚にしか出せない唯一無二の存在感がある。表現者として、彼は自分自身のことをどう捉えているのだろうか。
矢野本人にとっては転落ではなかったと思う
「きっと今この瞬間を生きてるという快感があったと思います。しかも、タッグを組む相手は、自分のことをいちばんわかってくれている美流。彼女と何かをなし遂げている達成感もあったはず。あのとき、矢野は今まで感じたことのないハイな状態にいたんじゃないかなという気がします」
そう銃を手に粛清を果たすシーンを振り返った。平凡な日常を生きていたはずの矢野は、美流と出会ったことで、今まで知ることもなかった裏社会へと巻き込まれていく。はたから見れば転落劇。けれど、宮沢は「本人にとっては転落ではなかったと思う」