宮沢氷魚の自己肯定論「人との違いが自分のひとつの武器になった」
と矢野の気持ちに寄り添った。
「撮影現場は血のりですごいことになっていて。もちろんそれが偽物だということはわかっている。でも演じているときは、返り血も全部本物だと思っているわけじゃないですか。しかも目の前では3秒前まで生きていた人がバタバタと死んでいって。その中で自分は生きている。なんだか変な感じでした」
予告編でも、返り血を浴びながら銃をぶっ放す矢野と美流の姿が鮮烈におさめられている。死とは、日常の真逆にあるもの。
退屈を持て余した矢野は、それを目の当たりにすることで、初めて生に覚醒する。
「ビルの屋上でパルクールをする動画をYouTubeにアップされている方がいるじゃないですか。普通の感覚で言えば、そんな危ないことできない…と感じると思うんですけど、きっとあの方たちも生死のギリギリのところに自分を追い込むことで、何か特別な快楽物質みたいなものが出ていると思うんですよ。それに近いものがあのシーンにはありました」
『グッバイ・クルエル・ワールド』予告編
矢野を演じる宮沢の髪は赤く染まっている。このインパクトのある髪色は、矢野を理解する上で大きな助けになったと言う。
「矢野って、たぶん言葉でうまく自分を表現できない人間なんですよね。