くらし情報『宮沢氷魚の自己肯定論「人との違いが自分のひとつの武器になった」』

宮沢氷魚の自己肯定論「人との違いが自分のひとつの武器になった」

そういうものを見ると、やっぱり人間にはまだ希望があるのかなと思う。自分のことだけを考えているのが人じゃない。他の人も救いたいという気持ちが人にはある。そう信じられることが、希望なのかなって」

じっくりと考えながら、宮沢は祈るように言葉を紡いだ。その言葉に、宮沢氷魚という人間の持つ心の美しさが反射されているようだった。

最後に「小さなことでいいです。この残酷な世界で生きててよかったと感じる瞬間はありますか」と質問を重ねると、穏やかな目元を一層柔らかくして、宮沢は答えた。

「その日の終わりに、今日が終わってほしくないなって思えたとき。
いいことも悪いことも含めて、今日はなんかすごくいい日だったって。明日になってほしくない、今日が終わってほしくないなって思えたときに、生きててよかったと感じます」

それは、なんだか心にすっと涼やかな風が吹き込むような答えだった。その神秘性で次々と大役を射止めてきた宮沢氷魚。だがいちばんの魅力は、こうした素朴で質実な人柄なのかもしれない。

宮沢氷魚の自己肯定論「人との違いが自分のひとつの武器になった」

宮沢氷魚の自己肯定論「人との違いが自分のひとつの武器になった」


取材・文:横川良明撮影:奥田耕平

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